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料理の「さしすせそ」とは? — 調味料の順番に隠された日本料理の知恵

砂糖→塩→酢→醤油→味噌。日本の家庭料理で語り継がれてきた調味料の基本順序「さしすせそ」。なぜこの順番なのか、本当に守るべきなのかを科学と歴史から整理します。

公開: 2026/5/6

さしすせそ」 — 学校の家庭科で誰もが一度は耳にする、日本料理の調味料の基本順序です。この語呂合わせには、煮物を上手に仕上げるための実用的な知恵が詰まっています。

5つの調味料

「さしすせそ」はそれぞれ次の調味料の頭文字を表します。

  • — 砂糖

  • — 塩

  • — 酢

  • — 醤油(旧仮名遣いで「せうゆ」と書いたため)

  • — 味噌

「せ」が醤油なのは、現代仮名遣いでは「しょうゆ」と書きますが、戦前までの旧仮名遣いでは「せうゆ」と表記されていたためです。

なぜこの順番なのか

「さしすせそ」は単なる調味料を覚える語呂合わせではなく、この順番に調味料を入れるとおいしく仕上がるよ、という調味料の基本順序も示しています。

砂糖を最初に入れる理由

砂糖は塩に比べて分子量が大きく(砂糖およそ342、塩58.5)、食材への染み込み方がゆっくりです。先に塩を入れてしまうと食材の細胞が浸透圧で締まって水分が抜け、後から加えた砂糖が中まで入りにくくなります。だから甘みを染み込ませたい煮物では砂糖が先、というのが基本則です。

塩は砂糖の後

砂糖で甘みを含ませた後に塩を加え、味のベースを整えます。塩は素材を引き締めて余分な水分を抜く働きがあるので、ここから先の風味調整がしやすくなります。

酢・醤油・味噌は後半に

酢の酸味、醤油や味噌の香りは加熱で飛びやすい揮発成分です。煮込みの最初から入れると風味が抜けてしまうため、火を止める少し前に加えるのが基本。特に味噌は煮立たせると香りが大きく落ちるので、最後に溶き入れて軽く温める程度に留めます。

絶対のルール?

「さしすせそ」は煮物(含め煮)の鉄則として語り継がれてきましたが、すべての料理に当てはまるわけではありません。炒め物や焼き物では味噌や醤油を最初に絡めることもあり、合わせ調味料を一度に投入する料理も多くあります。あくまで「味を染み込ませる煮物の経験則」と捉えるのが実態に近いでしょう。

また「分子の大きさで順番が決まる」と説明されることが多いですが、厳密には分子量・拡散速度の差の話で、粒の物理的サイズの大小ではない点も覚えておくと、料理科学の話題でつまずきにくくなります。

サイト名の由来

このサイト「さしすせそドットコム」は、日本の調味料文化に親しんでもらいたいという思いからこの名前を選びました。毎日の料理が少しだけ豊かになる一本との出会いを応援します。

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