濃口醤油の中でもこれだけ違う — 本醸造・混合醸造・混合の見分け方
同じ濃口醤油でもラベルの「製造方式」によって味も価格も大きく違います。JAS規格が定める3つの違いを整理。
公開: 2026/5/2
同じ「濃口醤油」と書かれていても、ラベルの一括表示をよく見ると 本醸造・混合醸造・混合 の3種類に分かれていることに気づきます。これはしょうゆのJAS規格(日本農林規格)による 製造方式 の分類で、それぞれ製法と味が異なります。
本醸造(ほんじょうぞう)
大豆・小麦・食塩を原料に、麹菌・酵母・乳酸菌の働きで 半年以上かけて発酵・熟成 させる伝統的な製法。アミノ酸液などは原材料に使いません。農林水産省によれば、国内で生産されるしょうゆの 約8割 がこの本醸造方式です。
- 香り:微生物の発酵によって生まれる複雑な香り
- 味:旨味・甘み・酸味・塩味のバランス
- 用途:素材の味を活かす料理、刺身・お吸い物・冷奴など
混合醸造
本醸造方式で仕込んだ もろみにアミノ酸液(または酵素分解調味液・発酵分解調味液)を加え、1ヶ月以上熟成 させる製法。短期間でコクを出せるためコスト面でも有利です。
アミノ酸液は、大豆や小麦などの 植物性タンパク質を塩酸で分解(加水分解)して中和した調味液。化学調味料の「うま味調味料(グルタミン酸ナトリウムなど)」とは別物で、JAS規格に定められた原料の一つです。
混合
本醸造方式で絞った 生揚げ(きあげ)しょうゆ に、アミノ酸液などを加えて仕上げる製法。最も手軽で、最も安価。塩味と旨味がはっきりした味になりやすく、濃い味で仕上げたい煮物や下味用に向きます。
どう選び分けるか
大量に使う料理では 混合・混合醸造のコストパフォーマンス も合理的な選択。一方、刺身や卵かけご飯のように醤油そのものの風味を味わう料理には 本醸造 を選ぶ価値があります。
製造方式は、ラベル一括表示の 名称欄に「こいくちしょうゆ(本醸造)」のように併記 されています。購入前にひと目チェックする習慣をつけておくと、用途別の使い分けがしやすくなります。
関連記事
料理の「さしすせそ」とは? — 調味料の順番に隠された日本料理の知恵
砂糖→塩→酢→醤油→味噌。日本の家庭料理で語り継がれてきた調味料の基本順序「さしすせそ」。なぜこの順番なのか、本当に守るべきなのかを科学と歴史から整理します。
用途別「失敗しない」醤油の選び方 — 刺身・煮物・つけ・かけ
料理によって最適な醤油は違います。刺身・煮物・お吸い物・卵かけご飯、それぞれにどの一本を選ぶか。
5種類の醤油の違い — 濃口・淡口・たまり・白・再仕込み
日本の醤油は実は5種類に大別されます。それぞれの色・味・用途の違いを3分で。
九州の甘口醤油 — なぜ甘いのか、何に合うのか
九州のスーパーで売られている醤油は驚くほど甘い。その理由と、合う料理、代表ブランドを3分で。