「生醤油」って何が違う? — 火入れの有無で変わる風味
2010年前後に量産化が進んだ「生しょうゆ」。普通の醤油と何が違うのか、どんな料理に向くのか、保存はどうするのかを整理。
公開: 2026/5/2
スーパーで「生しょうゆ」「なましょうゆ」と書かれた商品をよく見かけるようになりました。普通の醤油と何が違うのか、どう使えばいいのかを整理してみます。
「火入れ」をしないのが生醤油
普通の醤油は、もろみを絞った後に 80℃前後で火入れ をして仕上げられます(メーカーにより60℃台〜85℃程度まで幅があります)。火入れは色を整え、香りを引き出し、酵母や酵素の働きを止める大切な工程です。
これに対して生醤油は、火を入れずに精密フィルタ(ろ過膜)で微生物を取り除いた もの。だから「生」と呼ばれます。キッコーマンが2010年9月に「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」を発売したのを皮切りに、ヤマサなど大手も追随し、家庭用に流通する生醤油は近年広まったカテゴリーです。
味と香りの違い
- 香り:火入れによる加熱香(火香)がない分、もろみのフレッシュでおだやかな香り
- 色:火入れ醤油より明るく鮮やかな色合い(メーカーは「澄んだ赤色」と表現)
- 味わい:まろやかな旨みで、素材の味を引き立てる
こんな料理に向く
生醤油の魅力は 加熱しない料理 でこそ際立ちます。卵かけご飯・冷奴・刺身・納豆・生野菜のサラダなど、醤油そのものの香りを楽しむ料理に最適。煮物や炒め物に使うと、加熱で生醤油の繊細な香りは飛んでしまうため、火入れ醤油との差はほとんど分かりません。
保存は「容器」で決まる
生醤油の保存方法は、容器のタイプで大きく変わります。
- 二重構造の密封ボトル(キッコーマン「いつでも新鮮」シリーズなど):内袋が縮むことで空気が中身に触れない設計のため、開栓後も常温保存 が推奨されています。むしろメーカーは温度差による液漏れを避けるため冷蔵保存しないよう案内しています。
- 通常のガラス瓶やペットボトル:開栓後は空気に触れて酸化が進むため、冷蔵保存 し早めに使い切るのが基本です。
普段の濃口醤油より少し高価ですが、刺身用や卵かけご飯用に1本持っておくと、料理の質がぐっと上がります。「醤油の差が一番分かる料理」に使うのがおすすめです。
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