府中味噌 — 広島の麹歩合が高い甘口白味噌の特徴とレシピ
広島県府中市で江戸期から続く府中味噌は、麹歩合が高く塩分控えめの甘口白味噌です。讃岐・伏見と並ぶ白みその産地として知られる府中味噌の歴史と蔵元、家庭で楽しむ味噌汁の作り方をまとめました。
広島県府中市で受け継がれてきた府中味噌は、麹歩合が高く塩分が控えめな甘口の白味噌です。讃岐・伏見と並ぶ白みその産地のひとつに数えられ、芦田川流域の米と県北部の白芽大豆を背景に育まれてきました。歴史と蔵元、家庭で楽しめる味噌汁のレシピをまとめます。
府中味噌とは
府中味噌は、広島県府中市で醸造される米味噌のうち、麹歩合が高く塩分が低い甘口の白色系味噌の総称です。江戸時代から芦田川流域の良質米と県北部の白芽大豆を原料に家内製造が盛んで、福山藩主水野家が参勤交代の道中で諸大名に贈ったことから全国に名が知られたと伝えられます。現在は府中味噌協同組合に3社が加盟し、組合として共同販売や合わせ味噌の企画を進めています。地理的表示(GI)や地域団体商標としての登録は確認できていません。
米麹歩合が高く、甘口に仕上がる
塩分は他産地の味噌に比べて控えめ
色はきめが細かく透き通るような白色系
讃岐・伏見と並ぶ白みその産地として位置づけられる
江戸時代から続くとされ、現在の蔵元は府中市内に3社が残る
代表的な府中味噌の蔵元
府中味噌協同組合に加盟する3社が、現在の府中味噌を支えています。
金光味噌 — 1872年(明治5年)創業の蔵元。麹を多く使う減塩志向の白味噌を看板とし、有機JAS認証を早期に取得した取り組みでも知られる。
浅野味噌 — 1904年(明治37年)創業の蔵元。白味噌を中心に、フリーズドライ味噌汁の製造も手がけ、天然醸造を基本としている。
本家中村屋 — 府中市元町の蔵元。府中味噌のほか、黒味噌や金山寺味噌などにも幅を広げている。
レシピ例 — 府中味噌の白味噌汁
甘口で塩分控えめな府中味噌は、出汁の風味を引き立てる味噌汁に向きます。2人分の目安です。
府中味噌 大さじ2
かつおと昆布の合わせ出汁 400ml
絹ごし豆腐 1/3丁、わかめ(戻したもの) 20g、白ねぎ 1/3本
鍋に出汁を入れて温め、角切りの豆腐とわかめを加えます。沸騰直前で火を弱め、府中味噌を溶き入れます。再沸騰させずに火を止め、小口切りの白ねぎを散らして仕上げます。麹由来の甘みを残すため、味噌を入れたら煮立てないことが要点です。
もう一歩先へ
広島県の郷土料理「かきの土手鍋」は、土鍋のふちに白みそと赤みそを合わせた味噌を土手のように塗り、煮ながら崩して味を整える料理です。府中味噌の甘さを生かして合わせ味噌に仕立てると、広島産の牡蠣と相性よく楽しめます。
このサイトの味噌の一覧では、産地ごとの米味噌・麦味噌・豆味噌の比較から、家庭の料理に合う一本を選べます。
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