加賀味噌 — 加賀百万石の食文化が育てた米味噌の特徴とレシピ
石川県金沢を中心に作られてきた加賀味噌は、米麹を多めに仕込んだ赤系の米味噌です。長期熟成によるコクと米の甘み、加賀料理との相性、代表的な蔵元と家庭で作るレシピをまとめました。
加賀味噌は、石川県金沢周辺で作られてきた米味噌です。米麹を多めに仕込み、赤系の色合いと長めの熟成によるコクが知られています。加賀百万石の食文化に寄り添ってきたこの味噌の輪郭を、定義・蔵元・レシピの3つに分けて見ていきます。
加賀味噌とは
加賀味噌は、米こうじ・大豆・塩で仕込む米味噌です。加賀味噌食品工業協業組合の解説では、もっとも狭義には「加賀地方で生産された農産物を使用し、加賀地方で製造・包装された味噌」を指し、広義には「古くから認知された特徴を備え、その地域で生産・加工・包装されたもの」も含むと整理されています。色は赤系で、米麹と水分の比率が高めで塩分もやや強く、コクのある味わいが特徴とされています。組合は1971年(昭和46年)に県内10社が衛生管理と生産性向上を目的に設立した共同工場を母体としており、現在は7社で運営、石川県の味噌生産量のおよそ3分の2を担っています。GI(地理的表示)としての登録は確認できていません。
米麹歩合が高めの米味噌
色は赤系(赤褐色)で、長めに熟成させたものが多い
米麹由来の甘みと熟成由来のコクが両立
金沢を中心とした加賀地方で製造・包装される
加賀料理との親和性が高く、味噌汁や味噌漬けで使われる
代表的な加賀味噌の蔵元
加賀味噌に関わる主な製造元を3つ取り上げます。各社の事業内容や歴史は、それぞれの公式情報をもとに確認しています。
加賀味噌食品工業協業組合 — 白山市倉部町。1971年設立、県内7社で運営する共同製造組織。家庭用・業務用の加賀みそとOEMを手がけ、組合直営のオンラインショップも運営している。
ヤマト醤油味噌 — 金沢市大野町。1911年(明治44年)に初代山本藤松が創業し、屋号「山藤」が社名の由来。醤油・味噌・糀製品を中心に、有機JAS認定の原料も用いた発酵食品を展開する。
四十萬谷本舗 — 金沢市弥生。1875年(明治8年)創業の発酵食品製造元で、醤油・味噌から派生した味噌漬や、糀を使うかぶら寿しが代表商品。自社農場で蕪を栽培するなど原料調達にも取り組んでいる。
レシピ例 — めった汁
めった汁は石川県の家庭で作られてきた具だくさんの味噌汁です。豚汁との違いは、じゃがいもではなくさつまいもを使う点です。4人分の目安です。
豚バラ薄切り 150g
さつまいも 中1本(約200g)
大根 5cm、にんじん 1/2本
こんにゃく 1/2枚、油揚げ 1枚
だし汁 800ml
加賀味噌 大さじ3〜4(約50〜70g)
長ねぎ・七味唐辛子 各適量
豚肉と野菜を一口大に切り、こんにゃくはちぎって下ゆでします。鍋にだし汁を温め、火の通りにくいものから順に入れて野菜が柔らかくなるまで煮ます。火を弱めて加賀味噌を溶き入れ、煮立たせないように温めて器に盛り、ねぎと七味を添えます。さつまいもの甘みが味噌のコクと合わさるのが要点です。
もう一歩先へ
石川の味噌料理にはほかに、鴨と麩を使うじぶ煮(味噌は使わず醤油仕立て)や、能登の魚醤いしるを用いる料理など、発酵調味料の引き出しが広いという背景があります。家庭料理としてはめった汁のほか、味噌漬や糀を使う冬の仕込みが今も続けられています。
このサイトの味噌の一覧では、地域別・色別・甘辛別に味噌を比較できます。加賀味噌の傾向と、隣県の越後味噌や信州味噌との違いを見比べてみてください。
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