御膳味噌 — 蜂須賀家の御膳に上った阿波の米味噌の特徴とレシピ
米麹をたっぷり使う徳島の御膳味噌は、甘みとしっかりした塩気が同居する独特の米味噌。蜂須賀家の御膳に由来する名前と、2025年の地理的表示(GI)登録、代表的な蔵元、家庭で作るレシピをまとめました。
徳島の家庭で長く親しまれてきた御膳味噌(ごぜんみそ)は、米麹をたっぷり使う甘みのある赤色米味噌です。蜂須賀家の御膳に上ったことから名付けられた、と伝わるこの味噌は、2025年に農林水産省の地理的表示(GI)に登録されたばかり。徳島ならではの食文化と一緒に、家庭で作るレシピも紹介します。
御膳味噌とは
御膳味噌は徳島県(阿波)で作られる赤色の米味噌で、徳島県味噌工業協同組合に加盟する蔵元が県内で仕込みます。2025年3月18日に農林水産省の地理的表示(GI)第167号に登録され、組合の品質基準を満たしたものに限り「御膳みそ」を名乗ることができます。組合は1966年に「御膳」を商標としても登録しています。名前の由来は、天正13年(1585年)に阿波領主となった蜂須賀家政の御膳に供されたことから「御膳味噌」と呼ばれるようになった、と伝えられています。御膳味噌には次のような特徴があります。
米麹歩合が高い — 大豆10に対し米麹14(14割糀)が標準。一般的な米味噌より米麹をふんだんに使う。
甘口と辛口の両特性 — 米麹由来の甘みは強いが、塩分は12%前後と高め。「甘口でもあり辛口でもある」全国的に珍しいプロファイル。
濃い赤褐色 — 長期熟成による色付き。組合の説明では「多糖多塩型」と分類される。
阿波目白大豆の系譜 — 江戸期、阿波藍栽培の間作として作られた良質大豆「阿波目白」が、米麹を贅沢に使う味噌文化を支えてきた。
近畿に出荷された商品味噌 — 江戸期から「副食の生味噌」として近畿地方に出荷され、商品としての品質が磨かれてきた。
代表的な御膳味噌の蔵元
徳島県内には御膳味噌の伝統製法を守り続ける蔵元があります。代表的な製造元を挙げます。
福寿醤油(鳴門市) — 1826年(文政9年)創業の老舗醸造元。醤油を主軸としながら、御膳味噌をはじめとする調味料を手掛ける。
井上味噌醤油(鳴門市撫養町) — 1875年(明治8年)創業。御膳味噌をもろぶた製麹・杉樽天然醸造・長期熟成という伝統製法で仕込み続ける七代続く老舗。
ヤマク食品(徳島県) — 1894年(明治27年)創業。「無添加の蔵 御膳みそ」など14割糀・17割糀の製品ラインで、米麹歩合の高い御膳味噌を全国に届けている。
かねこみそ(徳島県) — 御膳味噌の製品ラインを中心に、徳島の家庭の味として親しまれる味噌を手掛ける。
レシピ例 — 御膳味噌の味噌汁(豆腐とすだち)
徳島の食卓らしさを出すなら、仕上げにすだちの搾り汁を加える組み合わせが似合います。4人分。
出汁(鰹節+昆布) 600ml
御膳味噌 大さじ3前後(米麹歩合が高く塩分もしっかりめなので、味を見ながら調整)
絹ごし豆腐 1/2丁、長ねぎ 1本、すだち 1/2個
長ねぎは斜め切りに、豆腐はさいの目に切ります。出汁を温めて豆腐を入れさっと温め、火を弱めて御膳味噌をお玉で溶き入れます。煮立たせず火を止め、長ねぎを散らして器に盛ります。仕上げにすだちを軽く搾れば完成。米麹由来のまろやかな甘みと、すだちの爽やかな酸味が体に染みる一杯になります。
もう一歩先へ
御膳味噌は、味噌汁のほかに魚や肉の味噌漬け焼き、おかず味噌、焦き味噌といった常備菜的な使い方でも徳島の食卓に根付いてきました。米麹歩合が高い甘口寄りの味噌でありながら塩分はしっかりしているため、こってりした素材の味噌だれにも、優しく仕上げたい吸い物にも応用が利きます。
このサイトの味噌の一覧では、御膳味噌を含む各製造元の商品を見比べられます。
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