西京味噌 — 京都の甘い白味噌の特徴とレシピ
強い甘みと淡い色合いが特徴の西京味噌は、京都発祥の低塩多麹の甘口白味噌。お雑煮や西京漬けに欠かせない位置づけと、代表的な蔵元、家庭で作るレシピをまとめました。
京都のお正月の食卓に並ぶ白い雑煮、料亭で出てくる魚の西京漬け、田楽豆腐に塗られた甘い味噌だれ。そのいずれも主役は、米麹をたっぷり使った京都の白味噌——西京味噌です。一般的な味噌よりずっと甘く、塩分も控えめな西京味噌の特徴と、家庭で作るレシピを紹介します。
西京味噌とは
西京味噌は、京都府味噌工業協同組合の認定を受けた、低塩・多麹(米麹歩合が高い)の甘口白味噌です。広い意味での白味噌の中で、京都府内で組合の品質基準を満たして製造されたものだけが名乗ることができます。「西京」という呼称は、明治の遷都で江戸が「東京」となった際、京都を「西の都=西京」と呼んだことに由来するとされます。農林水産省の食文化資料によれば京都発祥の白味噌は平安時代から作られていたとされ、米が貴重だった時代に貴族や寺院、室町・安土桃山期の茶道や懐石料理を通じて広がってきました。西京味噌には次のような特徴があります。
米麹を多く使う — 一般的な米味噌より高い米麹歩合で仕込む(本田味噌本店は大豆の2倍の米麹を使用と公表)。米麹由来の甘みが前面に立つ。
塩分が低い — 5%前後と、信州味噌・仙台味噌(10〜13%程度)の半分以下。長期保存より風味を優先した仕立て。
短期熟成 — 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」によれば1週間〜10日。発酵を急ぎすぎないことで、甘みと淡い色を保つ。
淡黄色〜カスタードクリーム色 — 大豆の蒸し方や麹の配合で、色は白に近い淡黄色に仕上がる。
強い甘みとまろやかな旨味 — 米麹のデンプン分解で生まれる糖が多く、味噌としては珍しい甘さが特徴。
代表的な西京味噌の蔵元
京都には西京白味噌を仕込む蔵元が複数あります。代表的な製造元を挙げます。
本田味噌本店(京都市上京区) — 1830年(天保元年)創業。初代が宮中料理用の味噌を献上したのが始まりとされる、御所近くの老舗。
西京味噌(京都市) — 「西京味噌」を社名に掲げる蔵元。京都の白味噌を全国に広く流通させている。
石野味噌(京都市下京区) — 1781年(天明元年)創業。本田味噌本店と並ぶ京都の白味噌の老舗。
関東屋(京都市中京区御幸町) — 1847年(弘化4年)創業。京都府味噌工業協同組合に属する西京白味噌の蔵元。
レシピ例 — 京風白味噌のお雑煮
京都のお正月の食卓に並ぶ、西京白味噌仕立てのお雑煮です。4人分。
出汁(昆布) 600ml
西京白味噌 大さじ4〜5(他の味噌より塩分が低いので量は多め)
丸餅 4個、頭芋(または里芋) 4個、大根 5cm、金時人参 1/2本、青ねぎ 適量
大根・人参はいちょう切りに、頭芋(または里芋)は皮を剥いて下茹でしておきます。昆布出汁を温めて野菜を入れ、柔らかくなるまで煮ます。別に丸餅を焼くか茹でて柔らかくしておき、椀に入れます。鍋の火を弱めて西京白味噌をお玉で溶き入れ、煮立たせず火を止めます。具と汁を椀に注ぎ、青ねぎを散らせば完成。京都のお雑煮では、丸餅は「円満」、頭芋は「立身出世」、大根や金時人参は「魔除け・長寿」を願う具材として知られています。
もう一歩先へ
西京味噌は雑煮以外にも、魚や肉を漬け込む西京漬け、豆腐や茄子に塗って焼く田楽味噌、和え物の白味噌だれなど、京料理の幅広い場面で活躍します。京都府味噌工業協同組合では上位概念の「京味噌」が2007年に地域団体商標として登録されており、2022年には文化庁「100年フード」にも認定されました。
このサイトの味噌の一覧では、西京味噌を含む各製造元の商品を見比べられます。
関連記事
越後味噌 — 新潟の赤系辛口米味噌の特徴とレシピ
新潟県で作られる赤系辛口の越後味噌。上越地方の「浮き糀みそ」で知られる位置づけと、代表的な蔵元、家庭で作るレシピをまとめました。
仙台味噌 — 政宗が育てた赤色辛口の米味噌の特徴とレシピ
伊達政宗の御塩噌蔵にさかのぼる仙台味噌は、深い赤色と辛口のコクが特徴の宮城県の米味噌。日本三大味噌の一つの位置づけと、代表的な蔵元、家庭で作るレシピをまとめました。
信州味噌 — 全国シェア約5割を占める米味噌の特徴とレシピ
日本の味噌生産量の約5割を占める信州味噌。淡色〜山吹色のこしタイプ・中辛口の米味噌は、全国の家庭で最も多く使われている味噌です。代表的な蔵元と、家庭で作るレシピをまとめました。
九州の麦味噌 — 香ばしい麦麹が育てた味噌の特徴とレシピ
米麹ではなく麦麹で仕込む九州の麦味噌。香ばしい麦の香りと穏やかな甘みが特徴です。代表的な蔵元と、家庭で作るレシピをまとめました。