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鰹節と昆布の合わせ出汁の取り方 — 一番出汁の王道レシピ

鰹節と昆布の合わせ出汁(一番出汁)の取り方をまとめました。水1Lに昆布10g・削り節を組み合わせる王道の分量、沸騰直前で昆布を引き上げる温度管理、漉す前に鰹節を沈める時間まで、家庭で再現しやすい手順で解説します。

木下さおり公開 2026/5/15

鰹節(かつおぶし)と昆布を組み合わせた「合わせ出汁」は、和食の土台となる一番出汁(いちばんだし)です。素材の分量と温度管理さえ押さえれば、家庭でも澄んだ香り高い出汁が引けます。ここでは公開されている公式情報をもとに、王道の取り方を整理します。

合わせ出汁とは

合わせ出汁は、昆布のうま味成分グルタミン酸と、鰹節のうま味成分イノシン酸を組み合わせた出汁です。2つのうま味は単独で使うより、合わせた方が強く感じられる「うま味の相乗効果」が働くため、少量の素材でも満足感のある味わいになります。短時間で取れるのは、これらのうま味成分が水に溶けやすく、加熱によって素早く抽出されるためです。

最初に引いた澄んだ出汁を「一番出汁」と呼び、お吸い物や茶碗蒸しなど、香りを生かす料理に使います。使い終わった昆布と鰹節を再度煮出したものは「二番出汁」と呼ばれ、味噌汁や煮物の下地に向きます。

用意するもの(分量)

  • : 1L

  • 昆布: 10g(水に対して約1%)

  • 削り節(薄削り): 10〜20g(水に対して1〜2%)

水1Lに昆布10g・削り節10gは、家庭向けレシピで広く示されている基準です。お吸い物のように出汁そのものを味わう料理では削り節を20g前後まで増やすと、香りと余韻が一段強くなります。昆布は真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布のいずれでも構いません。

取り方

  • 1. 昆布の下準備: 昆布の表面を、固く絞った布巾で軽く拭きます。白い粉はうま味成分(マンニット)を含むため、洗い流さないようにします。

  • 2. 水に浸す: 分量の水に昆布を入れ、30分以上浸します。時間がある場合は冷蔵庫で一晩おくと、よりうま味が引き出せます。

  • 3. 弱めの中火で加熱: 10分ほどかけてゆっくり温度を上げ、鍋底から小さな泡が立ち始めるあたり(60〜70℃前後)で昆布を引き上げます。沸騰させると昆布特有のぬめりや臭みが出るため、沸かしきらないことが肝心です。

  • 4. 鰹節を加える: 昆布を引き上げたら火を少し強め、ふつふつと沸いてきたところで一度火を止め、削り節を全量加えます。再び弱火にかけ、お吸い物用なら1〜2分、味噌汁や煮物用なら3〜4分ほど静かに煮出します。

  • 5. 鰹節を沈ませて漉す: 火を止め、削り節が自然に鍋底へ沈むまで2分ほど待ちます。ボウルにざるを重ね、キッチンペーパーや晒し布をしいて静かに漉します。

仕上がりは水1Lに対しておよそ800〜900mLです。冷蔵で2〜3日を目安に使い切ります。

失敗しないコツ

  • 沸騰させすぎない: 昆布も鰹節も、強く煮立てると雑味やえぐみが出ます。沸騰直前で昆布を引き上げ、削り節は静かに煮出すのが基本です。

  • 鰹節を押さえつけない: 漉すときに削り節を絞ると、渋みや濁りが出ます。自然に沈んだものを、ゆっくり通すだけにとどめます。

  • 浸水時間を惜しまない: 昆布のうま味は水溶性で、加熱前の浸水で大半が抽出されます。30分以上の浸水が、香りの澄んだ出汁につながります。

  • 湯温の目安: 温度計があれば、昆布引き上げは60〜70℃、削り節投入後の煮出しは85〜90℃を目安にします。気泡の大きさで判断する場合は「鍋肌に細かい泡が連なる」状態を保ちます。

もう一歩先へ

余裕があれば、使った昆布と削り節で二番出汁を取ってみてください。新たに水を加えて中火で5分ほど煮出し、追い鰹を少量加えて漉せば、味噌汁や煮物に十分使える出汁になります。

合わせ出汁の味は、素材の質に素直に反映されます。昆布は産地や等級で香りが、削り節は本枯節(ほんかれぶし)か荒節(あらぶし)かで余韻が変わります。同じ手順で素材だけを変えて引き比べると、調味料に頼らずとも料理の輪郭が立ち上がる感覚がつかめます。出汁は和食の土台です。一度分量と温度を体に入れておくと、味噌汁・煮物・うどんつゆまで、家の味が安定します。

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