小豆島の醤油 — 木桶仕込みが続く島の特徴とレシピ
香川県小豆島は1592〜95年(安土桃山時代後期)から続く醤油の産地です。木桶を使った天然醸造を守る製造元の特徴と、島の食文化が伝わるレシピを紹介します。
香川県小豆郡小豆島町と土庄町から成る小豆島は、瀬戸内海に浮かぶ醤油の産地です。1592〜95年(安土桃山時代後期)から続くとされる醸造の歴史と、今も使われている多くの木桶が、島の食文化を支えています。
小豆島の醤油とは
小豆島の醤油は、1592〜95年(安土桃山時代後期)に紀州湯浅(現在の和歌山県湯浅町)から製法が伝わったとされ、およそ400年の歴史があります。江戸時代後期に塩づくりから醤油づくりへ移り、明治期には400戸近い醸造家がいました。1901年(明治34年)に同業組合ができ、今は小豆島醤油協同組合として活動が続いています。島内には木桶が数多く残っており、佃煮(醤油などで甘辛く煮詰めた保存食)の文化とともに育ってきました。
瀬戸内海の温暖で雨の少ない気候と、海と山を通る風が、もろみ(発酵中の混合物)の発酵に向いています。
島内では1,000本を超える木桶が今も使われており、世界でも数少ない木桶の多い産地です。
蔵にすみついた酵母や乳酸菌が、蔵ごとに違う香りと味を生み出します。
佃煮との結び付きが強く、「醤の郷」と呼ばれる醸造蔵の集まる地区があります。
香川県は醤油の生産量で全国上位にあり、その多くが小豆島で造られています。
代表的な製造元
島内には大小さまざまな製造元があり、木桶仕込みや天然醸造を中心にそれぞれの味を作っています。
マルキン醤油 — 1907年(明治40年)創業。記念館や、登録有形文化財に指定された天然醸造蔵を見学できます。
正金醤油 — 1920年(大正9年)創業。120本余りの木桶を持ち、全商品を木桶での天然醸造で造っています。
ヤマヒサ — 1932年(昭和7年)に醤油造りを始めた製造元です。有機JAS原料を使った杉樽仕込みに早くから取り組んできました。
ヤマロク醤油 — 安田地区にある製造元で、もろみ(発酵中の混合物)蔵は登録有形文化財です。再仕込み醤油(二度仕込みの醤油)「鶴醤」が知られています。
丸島醤油 — 1942年創業。1960年に無添加醤油を発売し、佃煮や漬物まで手掛けています。
レシピ例 — 釜揚げそうめんの醤油つけだれ
小豆島は手延べそうめんの産地でもあります。木桶仕込みの濃口醤油を使った、簡単なつけだれの目安です(2人分)。
濃口醤油 大さじ3、みりん 大さじ2、水 200ml、削り節 5g、昆布 3g。
水に昆布を30分浸し、火にかけて沸騰する直前に取り出します。削り節を入れてひと煮立ちさせ、こします。
みりんを煮切り(アルコールを飛ばし)、醤油とだしを合わせて冷やします。
茹でたそうめんに、好みでおろし生姜や青ねぎを添えていただきます。
もう一歩先へ
島の食文化をさらに知るには、醤の郷の製造元巡りや、香川県の郷土料理「しょうゆ豆」が手がかりになります。再仕込み醤油(二度仕込みの醤油)は刺身や卵かけご飯に、淡口は煮物に、と用途で使い分けると違いが分かります。
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