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東海のたまり醤油 — 大豆を多く使う濃い旨味の特徴とレシピ

愛知・三重・岐阜の東海3県で造られてきたたまり醤油は、大豆を多めに使う濃い醤油です。豆味噌の文化から育った特徴と、主な製造元、家庭で作れる照り焼きのレシピを紹介します。

木下さおり公開 2026/5/10

たまり醤油は、愛知・三重・岐阜の東海3県を中心に造られてきた醤油です。大豆を多めに使って仕込むため、濃い旨味と独特のとろみがあります。たまり醤油の特徴、主な製造元、家庭で作りやすい照り焼きの作り方をまとめます。

たまり醤油とは

たまり醤油は、東海地方の豆味噌の文化から生まれた醤油です。豆味噌の仕込み桶の表面に出てくる液体を集めたものが始まりとされています。一般的な濃口醤油は大豆と小麦をほぼ同じ量で使いますが、たまり醤油は大豆が中心で、小麦は使わないか少しだけです。仕込み水も濃口醤油より少なく、原料からとれる液の量も少ないので、濃度の高い液になります。愛知県味噌溜醤油工業協同組合によると、たまり醤油の生産量は全国の醤油出荷量の約2%で、生産量の少ない種類です。GI(地理的表示)としての登録は、2026年5月時点では確認できていません。

  • 大豆を中心に仕込み、小麦は使わないか少量です。

  • 仕込み水が少ないため、色は深い赤褐色から黒褐色になります。

  • タンパク質からできるアミノ酸が多く、旨味が濃く出ます。

  • とろみがあり、加熱すると照りが出やすい性質があります。

  • 小麦を使わない銘柄は、グルテンフリー食品としても扱われています。

主な製造元

東海3県には、江戸期から戦後にかけて創業した製造元が今も残ります。大豆と小麦の配合や熟成期間に、それぞれの個性があります。

  • 丸又商店 — 愛知県武豊町で1829年に創業。大豆と食塩だけを使い、杉桶で3年熟成させます。

  • 中定商店 — 愛知県武豊町で1879年に創業(屋号は宝山)。味噌玉麹で豆味噌とたまりを3年熟成で仕込みます。

  • サンビシ — 愛知県豊川市の醤油・調味料の製造元です。前身は1896年創業の三河醤油合資会社で、溜醤油も主力商品の1つとして挙げています。

  • 山川醸造 — 岐阜県岐阜市で1943年に創業。大豆8対小麦2で配合し、木桶で2年熟成させます。

  • 伊勢藏 — 三重県四日市市の製造元。たまりのほか白しょうゆや赤だしも扱い、東海らしい品揃えです。

レシピ例 — ぶりの照り焼き

たまり醤油は加熱で照りが出やすく、魚の照り焼きに向いています。ぶりの切り身2切れに塩を軽く振り、10分置いて水気を拭き取ります。フライパンに油を薄くひき、皮目から中火で焼き目を付け、両面を3分ずつ焼きます。一度火を止めて余分な脂を拭き取り、たまり醤油・みりん・酒を各大さじ1、砂糖を小さじ1合わせたタレを加えます。中火で煮詰めながら切り身に絡め、表面につやが出たら火を止めます。仕上げに白いりごまを散らします。煮物や卵かけご飯にも、数滴で旨味が増します。

もう一歩先へ

たまり醤油は、刺身や寿司に直接合わせるほか、照り焼きや煮物、佃煮の仕上げに少量加えると、料理の味がまとまります。製造元によって大豆と小麦の比率や熟成期間が異なり、同じ「たまり」でも味わいはさまざまです。東海を訪れる機会があれば、武豊町や岐阜市、四日市市の製造元の直売所で食べ比べてみるのもおすすめです。

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